発想法 アイデアの作り方

 

発想法、アイデア/アイディアを生み出す方法のまとめです。


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ジェームズ・ウェブ・ヤング『アイデアのつくり方』

知的発想法のロングセラー。原著の初版は1940年に出版された。
著者はアメリカの実業家ジェームズ・ウェブ・ヤング(1886-1973)。

ヤングは、少年時代から数々の仕事を経験した後、26歳で広告業界に身を投じ、数々の斬新な広告のアイデアで頭角を表したが、42歳という若さで引退している。本の内容はシカゴ大学のビジネススクールで広告を専攻している大学院の学生に講義したものと、広告界で活躍している実務家の集まりで話したもの。

ヤングの考え
・アイデア作成の基礎となる原理について大切なことは二つあるように思われる。
アイデアとは既存の要素の新しい組み合わせ以外の何ものでもない。
既存の要素を新しい一つの組み合わせに導く才能は、事物(※種々の出来事や物)の関連性を見つけ出す才能に依存するところが大きい。アイデアを作成する際に私たちの心のはたらき方が最も甚だしく異なるのはこの点であると思う。
・事実と事実の間の関連性を探ろうとする心の習性がアイデア作成には最も大切なものとなる。

アイデアの作られる全過程または方法

第一段階 資料を収集する。

・資料収集作業はひどい雑仕事であって生易しいものではない。集めてこなければならない資料には二つある。特殊資料と一般的資料。広告で特殊資料というのは製品と、それを諸君が売りたいと想定する人々についての資料。広告のアイデアは、製品と消費者に関する「特殊知識」と、人生とこの世の種々様々な出来事についての「一般的知識」との新しい組み合わせから生まれてくるものなのである。この過程はちょうど万華鏡の中で起こる過程に似ている。この段階の一半は当面の仕事、一半は生涯にわたる長い仕事である。

第二段階 これらの資料を咀嚼する段階。心の中でこれらの資料に手を加えること。

・集めてきた個々の資料をそれぞれ手にとって心の触覚とでもいうべきもので一つ一つ触ってみることである。1つの事実を取り上げてみる。それをあっちに向けてみたりこっちに向けて見たり、ちがった光のもとで眺めてみたりしてその意味を探し求める。また、二つの事実を一緒に並べてみてどうすればこの二つがかみ合うかを調べる。
・仮の、あるいは部分的なアイデアが浮かんだらそれらを書きとめておくこと。これらはこれから生まれてくる本当のアイデアの前兆であり。それらを言葉に書きあらわしておくことによってアイデア作成過程が前進する。
・(中略)しかしやがて諸君は絶望状態に立ち至る。何もかもが諸君の心の中でごちゃごちゃになって、どこからもはっきりした明察は生まれてこない。ここまでやってきた時、つまりまずパズルを組み合わせる努力を実際にやり遂げたとき、諸君は第二段階を完了して第三段階に移る準備ができたことになる。

第三段階 孵化段階。意識の外で何かが自分で組み合わせの仕事をやるのにまかせる。+刺激を与える。

・この段階にやってくれば諸君はもはや直接的には何の努力もしないことになる。ここですべきことは、問題を無意識の心に移し諸君が眠っている間にそれが勝手にはたらくのにまかせておくということのようである。
・アイデア作成の第三段階に達したら、問題を完全に放棄して何でもいいから自分の想像力や感情を刺激するものに諸君の心を移すこと。音楽を聴いたり、劇場や映画に出かけたり、詩や探偵小説を読んだりすることである。

第四段階 アイデアの誕生。見つけたという段階。

・(中略)アイデアの訪れてくるき方はこんな風である。諸君がアイデアを探し求める心の緊張をといて、休息とくつろぎのひとときを過ごしてからのことなのである。
(※アイデアは心の緊張をといて休息とくつろぎのひとときを過ごしているときに思いついたりする)

第五段階 現実の有用性に合致させるために最終的にアイデアを具体化し発展させる段階

・そのアイデアを、それが実際に力を発揮しなければならない場である現実の過酷な条件とかせちがらさといったものに適合させるためには忍耐強く種々たくさんの手をそれに加える必要がある。

ジャック・フォスター『アイデアのヒント』より

ドイツの哲学者ヘルマン・ヘルムホルツ

ドイツの哲学者ヘルマン・ヘルムホルツは、新しい考えを得るのに三つのステップを使うと述べている。

第一ステップは準備
問題をあらゆる観点から考えてみる。

第二ステップは孵化
問題については意識的に考えない。

第三ステップは解明
予期せぬときに、すばらしい考えがひょこりと、まるでインスピレーションのように浮かぶ段階。

モーシュ・F・ルビンシュタイン

カリフォルニア大学の研究者モーシュ・F・ルビンシュタインは、問題解決には、四つのステージがあるとしている。

ステージ1 準備
問題を構成している要素を洗いなおし、それぞれの関係を研究する。

ステージ2 孵化
すぐに解けない問題は寝かせておく。答えが見つからないのと、どうすればいいのかわからないのとで、このステージはいらいらするかもしれない。

ステージ3 インスピレーション
突然、答え、またはそこへ通じる道がひらめく。

ステージ4 検証
思いついた解決法が実際に使えるかどうか試してみる。

チャールズ・S・ウエイクフィールド

チャールズ・S・ウエイクフィールドは著書の中で「創造的な行為には一連の(五つの)精神的なステージがあるとしている。」

第一ステージ
問題の存在に気付く。

第二ステージ
問題の意味を明確にする。

第三ステージ
問題を徹底的に検討し問題に関するデータをできるかぎり集める。

第四ステージ
孵化の段階であり表面的には静か。

第五ステージ
爆発が起こる。心がアイデアをわしづかみにする。論理やら常識的な手順やらを飛び越え、いきなり視界が開ける。

アーサー・ケストラー

イギリスの作家アーサー・ケストラーはこう考えた。「クリエイティブな独創性とは、何もないところからアイデアを創造することではない。しっかりと確立された考え方を組み合わせ、相互に深め合うというプロセスからアイデアを生むことだ」。
彼はこのプロセスを「異縁連想」と呼び、次のように述べている。
「創造的な行為とは、すでに存在する事実、考え、技能、技術を新たに発見し、選び、並べ直し、組み合わせ、統合することである」

よいアイデアを思いつく場所 三上と4B

三上

「三上(さんじょう)」とは、文章を練るのに最も良く考えがまとまるという三つの場所のこと。
(欧陽脩(おうよう しゅう 1007-1072年 中国の北宋時代の文人)「帰田録」の「余、平生作る所の文章、多くは三上に在り。乃(すなは)ち馬上・枕上(ちんじゃう)・厠上(しじゃう)なり」から)

馬上(ばじょう) 馬に乗っているとき
枕上(ちんじょう) 寝床に入っているとき
厠上(しじょう) 便所に入っているとき

創造性の4B

4Bは、多くの人が普段よりもひらめきやすい場所。

Bar バー
Bathroom バスルーム
Bus バス
Bed ベッド

出典『スウェーデン式 アイデア・ブック』

質は量から生まれる

陶芸の授業 量の大切さを示すエピソード

デイヴィッド・ベイルズ , テッド・オーランド『アーティストのためのハンドブック 制作につきまとう不安との付き合い方』2011

陶芸の授業の初日に生徒を二つのグループに分ける。
半分の生徒は、最終日までに制作した作品の「量」(総重量)だけで評価する。
もう半分の生徒は、制作物の「質」だけで評価する。

評価の日、最も質の高い作品は、いずれも量で評価されるグループの生徒がつくったものだった。

ピカソ、エジソン、バッハ 


wikipedia ピカソ

柳澤大輔『アイデアは考えるな』2009

・実は、アイデアをたくさん出そうとするからこそ、すごいアイデアが出てくるのだとも言えます。100個のアイデアを出して、そのうち実現しそうなのが1案しかなくてもいいのです。99案が荒唐無稽でも、その荒唐無稽な「すごくないアイデア」がヒントになって肝心の1案が思い浮かんだのかもしれません。
・ピカソは生涯2万点以上の絵をかいた。
・トーマス・エジソンの死後、アイデアメモがぎっしりかかれた3500冊あまりのノートが発見された。

アダム・グラント『ORIGINALS 誰もが「人と違うこと」ができる時代』2016

・創作者がみずからのアイデアを適切に評価できないとすれば、傑作を生み出す可能性はどうすれば高められるのだろうか? その方法とはズバリ、『多くのアイデアを生み出すこと』だ。大量に創作すると、多様な作品が生まれ、オリジナリティの高いものができる確率が高くなるのだ。

・ピカソの全作品は1800点以上の絵画、1200以上の彫刻、2800以上の陶芸、1万2000点以上のデッサンのほかに、版画、ラグ、タペストリー作品もあるが、そのなかで高く評価されているのはほんのわずか。
・シェイクスピアは20年間に37の戯曲と154の短い詩を書いている。
・モーツァルトは35歳で死去するまでに600曲、ベートーベンは生涯で650曲、バッハは1000曲以上を作曲している。更にクラシックの世界では作曲家が5年間で作曲した数が多いほどヒット作が生まれる可能性が高くなっていた。
・科学の分野ではアインシュタインは248もの出版物をだしているが、「一般相対性理論」と「特殊相対性理論」以外はごく小さな影響しかもたなかった。
・エジソンは30~35歳の間に電球、蓄音機、炭素送電話機を発明。その間に100を超える特許を申請している。

エジソンのアイデア・ノルマ


wikipedia エジソン

エジソンは、自分にも部下にもアイデア・ノルマを課した。エジソン自身のノルマは「10日ごとに小さな発明品を1つ、半年ごとに大きな発明品を1つ」だった。
出典『スウェーデン式アイデア・ブック』2005

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